完全なる飼育 Kanzen-naru Shiiku(1999)
2013-07-25, U。『完全なる飼育』、当時では小島聖の出演でかなり話題となっていたのをいまでも印象が深い。Wikiの情報によると、監督の和田勉が濡れ場の演出を拒否(?)したことで、竹中直人が完成させたとの逸話が残っている。わたしは『女理髪師の恋』を観るついでに、オリジナル(?)の本シリーズ第一作も合わせて観ることにした。これが正真正銘松田美智子原作から映画化したものだという。竹中直人の演技はそもそも定評があり、小島聖もかなりの真剣勝負にみえた演技を披露してくれた。特に濡れ場に持ち込まれる前の、二人の対峙がとてもよかったように思える。ただ、本当になんというか、その後の濡れ場はいらなかったのではと。女子高生の誘拐から「完全なる飼育」までの闘争をもっと念入りに撮ってくれれば、それこそ「ほんもの」になるのではと、残念でしょうがなかった。考えてみれば、大正十四年の谷崎潤一郎の『痴人の愛』はまさにこのようなテーマを、「犯罪」めいたものでなく、上手に描いたものと言える。犯罪の匂いは、ナボコフの『ロリータ』の方が遥かに凌いでいるだろう。
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