女理髪師の恋 Kanzen-naru Shiiku: Onna Rihatsushi No Koi(2003)
2013-07-25, U。タイトルに引っかかって、観ることにした。フランス映画の『髪結いの亭主』(Le Mari de la coiffeuse, 1990)を連想したからつい観たくなった。調べてみると、これは『完全なる飼育』連作シリーズの第5作(?)らしいが、1作目の作り込みと本作以外、わたしは興味を持たなかった。若手女優の露出シーンや濡れ場が見物とされるほかの作品を除いて、本作だけをピックアップさせてくれたもう一つの要因は、主演女優の荻野目慶子だった。天使と悪魔とを同棲させることの出来る凄ものの女優で、かつておいらん役を担った彼女の鬼気迫る演技は忘られなかった。その彼女を起用して、「女理髪師の恋」というタイトルであれば、もしやパトリス・ルコントの『髪結いの亭主』にもちなんで日本の詩情溢れる作品を仕上げてくれるのかと期待した。結論から言えば、ちょっと主演女優を台無しにしたような演出と脚本だったのでは、というのが正直の感想だ。せっかく竹中直人と北村一輝との競演であるだけに、もっとしっかりとしたものが観れると思ったのに、期待はずれだというしかない。映画のはじめにフランス語表記になっていたのも、わたしをこの作品を見続けさせた要因になっていたが、まったく『髪結いの亭主』どころではなかった.......。仮に濡れ場があっても、ルコントの『髪結いの亭主』は詩情にあふれる芸術作品として観賞できたのに比べ、『女理髪師の恋』は悲しくも、俗な作品に堕してしまった。りりィの『わたしは泣いています』という曲だけはよかったかな? 沢田研二の『時過ぎゆくままに』をとっても上手に個性的に謳った最後のエンディング曲も捨てがたい(同じくリリィ)、クエンティン・タランティーノの映画『キル・ビル』の最後の曲の使い方を一瞬、思い出したりした、もちろん『キル・ビル』の方が、一枚も二枚(?)も上手だったが。
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